アナログからデジタルへ!
トルクが " 見える " 『デジラチェ』の秘密に迫る
ネジが締まる原理とトルク管理の関係性
さて『デジラチェ』が誕生するまでの進化の過程をひとつずつ追いかけさせてもらい、いよいよデジタルトルクレンチ『デジラチェ』が活躍する時に欠かせない相棒の話へと移ってまいりましょう。
相棒って? それは言わずもがな、ボルト君やナット君たちのこと。タイヤやパーツを固定する時に活躍してくれる彼らにかける力のことをトルクと呼ぶからには登場してもらわないわけにはいきません。色々と質問をさせていただいているうちに、私にとっての目からウロコの言葉が森本さんから飛び出しました。
「ボルトやナットを締める=ボルトを伸ばして縮めることです。」
えっ? ボルトって、伸びるんですか??
「はい。鉄だから伸びない、と思われている方もいらっしゃるようですが、ミクロな状態ですが実は伸びています。だから緩いというのは伸びていない、締めようとする力になっていないのです。」
"締ろうとはしていない"ということは、緩い=ネジ山がかみあっているだけ、という事ですね。だから緩い締め付けのボルトは衝撃でまたすぐ緩んでしまう訳だ!
「そうですね、逆に伸ばしすぎると、切れてしまう。ゴムでもなんでも、伸ばしすぎると切れてしまうでしょう。ゴムの場合は一度大きく伸ばして、縮めて、停めますよね。ボルトも、伸びて、縮もうとする力で締まっているんですよ。」
なるほど! そうだったんだ! と興奮しきりの私でした。(みなさんはご存知でした? あ、知っていてアタリマエ、ですか? お恥ずかしや……。)
トルクをかけてボルトを締める=ボルトのネジ部分を伸ばして縮もうとする引っ張り合う力で固定している。だから……
「締め足らずは勿論ながら弛みを引き起こすので恐いことですが、締め付けすぎた場合、それをオーバートルクと言うんですけれど、それも事故に繋がる危険性があるんです。」
大型トラックなどの事故で目にする事のある脱輪。発生事由の25%ほどは締め付け過ぎによってネジが伸びすぎてしまい、ボルトの頭が落ちてしまった故に引き起こされてしまった可能性がある事故なのだとか……。
ぎゃー! 恐いー!! 私、今までトルク管理って「締まっていればOKだよね! 強く締めとけば安心♪」と思ってしまっていました……。大反省です。